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バックパッカーの旅Ⅰ(東京~アテネ)

バックパッカーの旅Ⅰ(東京~アテネ)

会長がジャングルから帰って来た!

             ≪八月二十九日≫    ―壱―



  一日中、雨が降ったり止んだりの嫌な天候だ。


 嬉しい事に今朝、安吾のエッセイがベッドの下から出てきた。


 今日もアートコーヒーに出かけたぐらいで、何事もなかった一日だ

が、夕方ホテルに戻ると、会長の姿があった。


 どうやら、生きて帰ったようだ。


 バンコックから北へ、500Km。


 タイのジャングル地帯へ行って来たという事だった。



  早速、ホテルの六階へと駆け上がって、ドアを開けると元気そ

うな会長がベッドに座っている。


    政雄「ヨー!行って来たのかよ!それでどうだった?」


    会長「どうって・・・・とんでもない田舎だよ!何しろ本当の

         ジャングルの中だからな。」


    俺 「どのへんなんです?」


    会長「そうだな・・・・。ここから北東へ行ったところだか

         ら・・・ビエンチャン、チェンマイ、バンコックのちょ

         うど真ん中ぐらいじゃぁ・・・ないかな。良くわからな

         いよ!」


    政雄「どのくらいかかったんだよ!」



  会長「十時間ぐらいかな。まず汽車で六時間ぐらい走って、そ

         こからボートに乗るんだよ。川をさかのぼるんだけど、

         これが凄いんだ。何しろ迷路のような所で、支流がいく

         つもあるから、ああいうのってジャングルって言うんだ

         ろうな。自分でも良く帰ってこられたと思うよ!」


    俺 「やっぱり、高床の家ですか?」


    会長「ああ!家の壁がなくて、屋根をムシロで覆っているだけ

         なんだよ。部屋は一部屋で、そこに家族全員が入ってる

         訳だ。皆そこで雑魚寝だからね。」


    皆 「・・・・・。」


    会長「昔の戦争映画があっただろ!あれと全然変わるところな

        いね。ボートに乗っていた時俺、黙ってたから、中国人だ

        と思われてたらしいんだよ。」


    皆 「中国人でもいけるもんね。」


    会長「それが、日本人という事がわかって大変よ!いろんな他

        の部落から原住民が大勢集まってきて大歓迎さ。食事なん

        か、一日五回だよ!」



  政雄「なんで、帰って来たんだよ!そんなに歓迎されて。

        良く帰れたな!」


    会長「やっぱり、結婚の話がでてさ。断るとまずいような空気

        が漂いはじめてさー!」


    政雄「二重結婚しちゃえば良かったのに。」


    会長「バカ言うな!言葉がわからない風に装って、夜寝静まっ

        てからワサラ(一緒に行った女の子)を外へ連れ出した訳

        よ。(約束が違うじゃない!)っていう事で、朝早く抜け

        出したって訳よ!お前らだったら、今頃部族の長の見習

        で、裸で暮らしてるだろうな!」



  ベッドの上では、ワサラが胡座をかいて座っている。


 我々の話がわかるはずもないのだが、ジッと耳を傾け笑っている。


 この夜、予定通り宴会となった。



            *



    これまでに習ったタイ語!



    *サワディ-(こんにちわ、おはよう、お休み)

  
    *マイ・カウ・チャイ(わからない)

  
    *ミヤ~ン(妻)

  
    *クン・チェ・アライ(あなたの名前は?)

  
    *コー・クン・マーク(ありがとう)

  
    *プラウ・マイ・チャイ(いいえ、ノー)

  
    *ジープン(日本人)

  
    *プージン(女性)

  
    *ム・アライ(いつ)

  
    *ユーティ-ナイ(何処で)

  
    *クライ(誰が)

  
    *アッライ、アニャ-ン(何を)

  
    *タム・マイ(なぜ)

  
    *ヤーンライ(どのようにして)



  などなど。



  片言ながら、このくらいは喋れるのだ。


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